マレウス・モンストロルム 7版と6版の比較 その違いは? 

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こんにちわ、えがけんです。

クトゥルフ神話TRPGのソースブック『マレウス・モンストロルム』

皆さんは、7版(新版)と6版(クラシック版)の2種類が販売されていることはご存じでしょうか?

2種類あることは知っていても、どう違うのかは分からない。どっちが良いのか、どちらとも買った方がいいのかは分からない。といった方も多いはず。

そこで今回は…

・『マレウス・モンストロルム』って、6版と7版でどう違うの?

・6版は持っているけど、7版も買うべきなの?

・結局どっちがオススメなの?

当記事ではこういった疑問を解決すべく、『マレウス・モンストロルム』新版(7版)とクラシック版(6版)の違いを詳しく解説していきます。

また、より知識を深めたいという冒涜的なユーザーのために、記事の最後では『マレウス・モンストロルム』以外の参考書籍もいくつか紹介します。

よければ最後まで読んでいってください。

ミ=ゴけん
ミ=ゴけん

『マレウス・モンストロルム』…
略して「マレモン」とも呼ばれてるミゴ!!

基礎知識:『マレウス・モンストロルム』とは?

『マレウス・モンストロルム』とは、クトゥルフ神話TRPGのソースブックです。

この書名は1486年にラテン語で書かれた『魔女への鉄槌』(マレウス・マレフィカルム)にちなんだもので、日本語に訳すと「怪物への鉄槌」というような意味になります。

【クトゥルフ神話TRPGにおける”ソースブック”】

クトゥルフ神話TRPGにおけるソースブック(サプリメントとも呼ばれます)とは、ルールブックを拡張するための書籍やデータ集です。

・クトゥルフ神話TRPGとは何か?
・ルールブックとは何か?


といった疑問については別記事で解説しています。
基礎知識が必要な方は、下記のリンク先をご覧ください。

【関連記事】
「CoCとは?」「クトゥルフ神話TRPGとは?」超簡単に解説!
TRPG/CoC ルールブックって何?必要なの?どこで買えるの?

『マレウス・モンストロルム』の役割

『マレウス・モンストロルム』はいわゆる「怪物図鑑」として、長年クトゥルフ神話TRPGのユーザーに重宝されてきたソースブックです。

様々なクトゥルフ神話のクリーチャーや邪神の設定資料と、それらをクトゥルフ神話TRPGで扱うためのデータが収録されています。

本書に収録されている膨大なデータは、既存のシナリオでクトゥルフ神話TRPGをプレイする際や、シナリオを自作する上で、これ以上なく役に立つはずです。

また、クリーチャーの描写や生態、能力といった膨大な収録物は読み物としても非常に面白く、クトゥルフ神話の世界観に存分に浸ることができます。

筆者も以前の記事で初心者プレイヤーが買うべきソースブックの1冊として紹介させて頂きました。

『マレウス・モンストロルム』の種類

『マレウス・モンストロルム』には、2008年に発売された旧版(6版)verと、2021年に発売された2冊の新版(7版)verがあります。

記事の後半で詳しく解説しますが、新版が旧版の単純な上位互換といったわけではありませんので、ご注意ください。

『マレウス・モンストロルム Vol.1クリーチャー編』

新版(7版)の『マレウス・モンストロルム』は2冊構成となっており、 Vol.1クリーチャー編では「クトゥルフ神話のクリーチャー」、「伝承と伝説のクリーチャー」、「動物」を扱っています。

データはすべて新版(7版)に対応しています。

『マレウス・モンストロルム Vol.2神格編』

Vol.2神格編では「クトゥルフ神話の神格」全般を扱っています。

こちらもデータはすべて新版(7版)対応のものです。

『マレウス・モンストロルム』クラシック版ver

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クラシック版(6版)の『マレウス・モンストロルム』はクリーチャー、神格共に1冊にまとめて収録されています。

データはクラシック版(6版)のものになります。

▼その他、クトゥルフ神話TRPGの書籍一覧はこちらのページで紹介しています。

『マレウス・モンストロルム』7版と6版の違いは?

それでは、『マレウス・モンストロルム』の新版(7版)とクラシック版(6版)の違いを詳しく解説していきます。

収録データの違い

『マレウス・モンストロルム』の目玉は、何といっても膨大なクリーチャーやクトゥルフ神話の神格のデータです。

新版(7版)とクラシック版(6版)では、収録データの量、質、そして挿絵に大きな違いがあります。

下記の表をご覧ください。

収録データの違い① データの量と質の違い

上記の表でも分かるように、新版改訂に伴い80種ものデータが除外されています。

収録数だけを見れば旧版の方が優れていると感じますが、1種あたりのクリーチャーや神格の情報量は新版の方が多です。

『マレウス・モンストロルム』収録データ量の比較

・旧版 369種/282p = 0.76p 1種あたり0.76ページ
・新版 289種/443p = 1.53p 1種あたり1.53ページ

このように、1種あたりのページ数を見ると、新版はおよそ2倍の紙面が割かれていることが分かります。

今回は、みんな大好きな「ミ=ゴ」を例に挙げて見ていきましょう。

上記のように、「ミ=ゴ」の項を比較してみると、データの総量が3倍に増えています(ミ=ゴは加筆が多い部類です) 。

主な追加項目としては、別名の提案や、役割によって4パターンに分岐する能力値、装備に新たな特殊能力…など、どれも明日のセッションから使いたくなるような、非常に有用なデータです。

一方で、新版改訂にあたって削除された項目も無視はできません。

80種以上のリストラされたクリーチャーや神格のデータは当然収録されていませんし、引用分の出典先の表記がないのも大きなマイナス点です。

「ミ=ゴ」に関して言えば、筆者も脳缶とか電気銃をなぜ削除したのかブチ切れていたものです。…失礼。

さらに、具体例は取りあげませんが、「Vol.2神格編」で追加された神格データの項「祝福」、「遭遇」、「オーラ」、「典型的な顕現」には目を見張るものがあります。

Vol.2神格編で追加された項目について

祝福……神格が自らを崇拝するカルティスト(大抵は邪悪な)に授ける可能性のある能力。身体の一部を変容させたり、魔術的な特殊能力を手に入れたり、さまざま。

遭遇……神格と遭遇する筋書きの具体的なフックなど、ゲームに神話存在を取り入れるためのアイデア。

オーラ……神格がまとう雰囲気の例や描写の提案。特に色、におい、幻影、音など、探索者の感覚と知覚に与える影響に焦点を当てている。

典型的な顕現……神格が顕現した際の能力値、特殊能力、攻撃方法など、ゲーム的なデータ。耐久力をゼロにした場合の反応も述べられている。


どの項目も、既存のシナリオやシナリオ創造に簡易に取り入れることができるため、キーパーやシナリオライター必見のデータとなっている。

総じて新版の『マレウス・モンストロルム』は、収録クリーチャーの数は減りましたが、1体あたりのデータ量と質は大幅に増加・改良されたと言えるでしょう。

全体的にゲームとしての運用を考慮して加筆・修正された項目が多く、クリーチャーや神格をより実際のプレイに取り入れやすくなっています。

まさに、キーパーへの提案や、シナリオライターのためのシナリオフックがぎっしりと詰まった、至高のソースブックなのです。

ミ=ゴけん
ミ=ゴけん

余裕があるなら
6版と7版の両方を揃えるのが良いミ=ゴね。

【クリーチャーの網羅性を求めるのならば…】

実は、新版でリストラされたクリーチャーや邪神の大部分はドリームランド関連のものであり、これらのデータは既刊のソースブック『ラヴクラフトの幻夢境』に収録されています。

クリーチャーの網羅性を求める場合、『マレウス・モンストロルム』の新旧両詰みはもちろん、新版の『マレウス・モンストロルム』2冊と『ラヴクラフトの幻夢境』の運用もおすすめします。
下記にクリーチャー一覧の記載書籍をまとめた記事のリンクを貼っておきます。

収録データの違い② 挿絵の違い

『マレウス・モンストロルム』に収録されている挿絵は、新版(7版)とクラシック版(6版)で全く違っています。

クラシック版(6版)では、該当の邪神やクリーチャーに関係する「文化・芸術的作品」が挿入されていました。

例えば、クトゥルフ神話のクリーチャーを思わせるような、壁画や絵画、彫刻や陶芸品といったアイテムですね。

新版(7版)の『マレウス・モンストロルム』では、これらは全て削除され、「邪神やクリーチャーのイラスト」が多数収録されています。

この挿絵が非常に素晴らしく、『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』のタッチでおぞましい神話生物が直接描かれており、視覚的なイメージを沸き立たせてくれます。

挿絵の変更の良し悪しに関してはユーザーの好みにもよると思いますので、どちらが良いとは言えませんが、実用性が高いのは新版の方ではないでしょうか。

邪神やクリーチャーやイラストについては『アート・オブ・クトゥルフ(新紀元社)』もオススメです。

世界のクリエイターたちが描いた、神話生物やクトゥルフ神話の世界観のイラストが多数収録されており、おぞましくも美しい世界観に浸れます。

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その他収録物の違い

『マレウス・モンストロルム』新版と旧版の違いは収録データ類の他にもあります。

些細な違いも多いため細かくは列挙せず、比較的大きな変更点のみ解説していきます。

その他収録物の違い① 怪物のプレイについてのアドバイス

クラシック版(6版)の『マレウス・モンストロルム』は、文字通り“怪物図鑑”といった感じで、クトゥルフ神話の神格やクリーチャーのデータを列挙するに留まっており、実際のゲームで使いどころに悩むような情報も多くありました。

反面、新版(7版)の『マレウス・モンストロルム』では、そういった「怪物のプレイ」についてのサポートが大きく充実されています。

新版にて追加された「怪物のプレイ」についてのサポート(一例)

・クリーチャーの行動理念
・効果的なプレイ
・戦闘、負傷と死について
・ダメージの種類による耐久力の喪失表
・モンスター/ミニオン管理シート
・人間の知覚とクトゥルフ神話
・ゲームでクトゥルフ神話の神々を使う  ……など

このように、新版(7版)の『マレウス・モンストロルム』では、実際のゲームをプレイする上でのアドバイスやツールが充実しました。

新版(7版)ルールブックの「14章 怪物、獣、異形の神」やクラシック版(6版)ルールブックの「補遺」にあったものをさらに掘り下げて加筆したものが半分ほど、もう半分は本書書き下ろしです。

その多くはキーパーやシナリオライター向けのもので、データの質の向上も相まって、邪神やクリーチャーの描写や運用の一助になることは間違いないでしょう。

怪物の描写はプレイヤーの想像力をかき立て、クトゥルフ神話の世界にいざなう

その他収録物の違い② 怪物の創造方法

新版(7版)とクラシック版(6版)の『マレウス・モンストロルム』では、「怪物の創造」の方法についても大きく異なっています。

クラシック版(6版)では、クリーチャーの創造を3パターンの実例に沿って解説しています。

テンプレートとして似たような能力を持つクリーチャーを設定し、そこからデータを改変していくといった手法が取られています。

一方新版(7版)では、クリーチャー創造の実例はないものの、クリーチャーの創造の詳細なガイドとアイデアが丁寧に紹介され、怪物の創造に使用できるランダム表まで収録されています。

実例に沿って紹介しているクラシック版(6版)も非常に分かりやすかったのですが、新版(7版)ではより広く深くサポートされていると言えます。

えがけん
えがけん

なるほどー。甲乙つけがたい部分もあるんだね

『マレウス・モンストロルム』新版と旧版の違いまとめ

ここまでで解説できなかった部分も含め、『マレウス・モンストロルム』の新版(7版)とクラシック版(6版)の簡単な比較表を作成しましたので、よければ参考にしてください。

『マレウス・モンストロルム』どちらがオススメ?

これから購入するなら新版がおすすめ

これから『マレウス・モンストロルム』を購入しようと考えているのならば、おすすめは新版(7版)の2です。

その理由はこれまで解説した通り、新版(7版)の方が遥かに実用性が高いからです。

ただし何度も言うように、新版(7版)はクラシック版(6版)の単純な上位互換ではないため、欲を言えば両詰み、『ラヴクラフトの幻夢境』と併せての運用が理想ではあります。

とはいったものの、ただでさえ新版(7版)は「Vol.1クリーチャー編」、「Vol.2神格編」の2冊に分かれているため、お値段も2倍。

無理をして新旧両方を買うのではなく、まずは新版(7版)を手に取れば間違いはないです。

▼新版の『マレウス・モンストロルム』の購入リンクは下記

6版を持っているが、7版も買い足すべき?

皆さんの中には、すでにクラシック版(6版)の『マレウス・モンストロルム』を所持していて、新版(7版)を買い足すか迷っている方も多いはずです。

これまで述べてきた通り、新版(7版)の『マレウス・モンストロルム』はユーザーライクに大きくアップデートされています。

特に、キーパーやシナリオ創作に挑戦している方にとって、あれば必ず役に立つ1冊になっています。

・キーパーとしてレベルアップしたい

・自分でシナリオを創作したい


・神話生物の見識を深めたい

こういった意欲的なユーザーにとっては、2冊で約8,000円と確かに値は張りますが、買い足す価値は十二分あります。

逆に言えば、クラシック版(6版)の『マレウス・モンストロルム』で満足している方や、必要性を感じない方にとっては、そこまでして手に入れる必要性は低いと考えます。

えがけん
えがけん

最後はみんな次第ミゴね!

おまけ:新版マレモンって買うべき? 簡単フローチャート

作ってみました。

最近では、スマホアプリ『新クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUS』にて、月額制でさまざまなソースブック(電子版)を購読できるサービスも展開されています。

新旧『マレウス・モンストロルム』もサブスク対象のブックとなっていますので、ぜひこちらもご活用ください。

補遺:参考書籍

最後にクトゥルフ神話のクリーチャーや神格にまつわる、『マレウス・モンストロルム』以外の参考書籍を少しだけ紹介します。

クトゥルフ神話 原作小説

クトゥルフ神話の神格やクリーチャーについて詳しくなりたければ、ラヴクラフト作品をはじめとする、クトゥルフ神話の原作小説は外せません。

クトゥルフ神話の原作に関しては、ぜひ別記事で取り上げたいと考えています。

クトゥルフ神話解体新書

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森瀬遼氏による『クトゥルー神話解体新書』では、クトゥルフ神話の神格やクリーチャーに加え、魔道書やアーティファクトの数々、関係するロケーションなど、多岐に渡る解説が収録されています。

暗黒神話TRPGトレイル・オブ・クトゥルー

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「ToC」の略称で呼ばれる『トレイル・オブ・クトゥルー』は、クトゥルフ神話TPGRのコアユーザーから多大な評価を受けているCoCとはまた違ったTRPGシステムです。

CoCと比べて純粋主義のテイストが強いToCですが、TRPGとしての面白さはもちろん、基本ルールブックにあたる本書には、CoCにも流用できるシナリオフックやクトゥルフ神話の設定集、1930年代の知識など、ゲームに役に立つデータが大量に収録されています。

ToCを遊ぶ予定がなくても大いに価値のある1冊となっていますので、この機に手に取ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに、大正~現代日本でToCが遊べる『トレイル・オブ・クトゥルー・ジャパン』も日本にまつわるシナリオフックの塊です。

筆者も激推しのToCに関しては、別の機会に紹介させていただきますね。

まとめ:『マレウス・モンストロルム』で冒涜的な知識を手に

以上で、今回の記事は締めさせていただきます。

皆さんもぜひ『マレウス・モンストロルム』を手に取り、より深く”クトゥルフ神話TRPG”の世界に踏み込みましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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