こんにちわ。えがけんです。
皆さんは、クトゥルフ神話TRPGのルールブックが2種類あることをご存じですか?
上記の2冊は、どちらもクトゥルフ神話TRPGのいわゆる「基本ルールブック」に該当する書籍です。
これからクトゥルフ神話TRPGをはじめようとしている初心者の方は、2冊の違いや、どちらを買えば良いかが分かりませんよね?
どうせ買うのなら、自分に必要な方を選択して購入したいところ。
実際に、XなどのSNSを覗いてみても……
「新版(7版)のルールブックを買うべき」
「クラシック版(6版)のルールブックを買った方がいいよ」
「できれば両方買った方がいいよ!」
など、情報が交錯しています。
そこで、今回の記事では,6版と7版のルールブックどっちを買えば良いか、その理由と2冊の違いについての解説をします。
この記事を読めば、ルールブックどっちを買うべき?といった疑問が解決するはず。
よければ、最後まで読んでいってください。
・クトゥルフ神話TRPGとは何か?
・ルールブックとは何か?
といった疑問については別記事で解説しています。
基礎知識が必要な方は、下記のリンク先をご覧ください。
【関連記事】
「CoCとは?」「クトゥルフ神話TRPGとは?」超簡単に解説!
TRPG/CoC ルールブックって何?必要なの?どこで買えるの?
結論:迷っているのならば新版(7版)を買うべき
結論からお伝えします。
どちらを買うべきか迷っているのなら、新版(7版)のルールブックを買いましょう!
なぜなら、新版(7版)の方がゲーム性がよく、遊ぶ環境も整っており、将来性もあるからです。
具体的には、記事の後半で解説しています。
当記事での「新版(7版)を買うべき」といった意見は、あくまで筆者一個人の考えです。
実際にクラシック版(6版)を薦める意見もありますし、否定はできません。
TRPGは一緒に遊ぶ仲間がいてはじめて成立するゲームです。
たとえば、あなたの友だち全員がクラシック版(旧版)で遊んでいるのなら、無理をして新版(7版)を買う必要はないのかもしれません。
基礎知識:6版、7版とは?
そもそも6版、7版とは?
そもそも、6版、7版とは何のことでしょうか?
クトゥルフ神話TRPGについての話題や動画をみてみると、「CoC6」「CoC7」、「CoC6版」「CoC7版」のように、後ろに数字がついているのを見かけると思います。
この数字はゲームのバージョンを表しています。
TRPGのシステムは、ルール整備や新規ユーザー獲得などの理由により、定期的に大幅改定(アップデート)されることがあります。
クトゥルフ神話TRPGも今までに何度か改定されており、現在は7版が最新版となっています。
その際に「新クトゥルフ神話TRPG」と、ゲームのタイトルも改題されました。
参考資料:『Call of Cthulhu』の展開と版の歴史
6とか7といった表記はゲームのバージョン。
現在は7版が最新版ってことだね!
うん!そういうこと!
クトゥルフ神話TRPG(6版/クラシック版)
クラシック版(6版)ルールブック。深い緑色の表紙が目印。
書店などで見かけることは少なくなったが、まだまだ現役で多くのユーザーに遊ばれ続けています。
新クトゥルフ神話TRPG(7版/新版)
新版(7版)のルールブック。黄色い表紙が目印で、“新”クトゥルフ神話TRPGの表記。
これからはじめるユーザーには、基本的にはこちらの購入がおすすめです。
表記まとめ
・「クトゥルフ神話TRPG」=「CoC6版(クラシック版)」
・「新クトゥルフ神話TRPG」=「CoC7版(新版)」
6版と7版の違いは?
では、6版と7版では何が違うのでしょうか?
ゲームの根幹は変わらない
前提として、クラシック版(6版)と新版(7版)のゲームの根幹となる部分は変わりません。
“新クトゥルフ神話TRPG”は秘密、神秘、そして恐怖に満ちたゲームである。あなたは揺るぎない心を持つ探索者となって、奇妙で危険な場所へ旅し、けがらわしい陰謀を見つけ出し、夜中に徘徊する怪物に立ち向かうことになる。あなたは正気を打ち砕く存在、怪物、そして狂気に陥ったカルティストと遭遇することになる。伝承を収めた奇妙で知られざる魔道書の中に、あなたは人類が知るべきではなかった秘密を知るだろう。
『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』第1章イントロダクション より引用
そして、あなたと仲間たちに世界の運命が委ねられるかもしれないのだ。
▼クトゥルフ神話TRPGについての超簡単な解説は、以前の記事でもさせて頂きました。
ルールの細部が改訂されている
クラシック版(6版)から新版(7版)へのアップデートに伴い、ルールの細部が改訂されました。
細かく分別すると100か所以上のルールが改訂されており、新たに追加されたルールも多々あります。
ゲームの根幹となる部分は変わらないものの、大規模な改訂がされたと言っても過言ではないでしょう。
クラシック版(6版)の探索者と新版(7版)の探索者が一緒に遊ぶためには
クラシック版(6版)と新版(7版)では、多くのルールに違いがあります。
2つの版の探索者を混同して遊ぶことはできません。
ただ、クラシック版(6版)のデータ(探索者やシナリオなど)を新版(7版)のものに変換する方法が、新版(7版)のルールブックに収録されています。
データを変換すれば、全員が新版(7版)の探索者となり、一緒に遊ぶことができます。
同様に、シナリオもクラシック版(6版)から新版(7版)に変換することができるため、これまでのシナリオも問題なく新版(7版)で遊ぶことができます。
シナリオも探索者も簡単に変換することができる
7版はルールが整備され、遊びやすくなった
CoCの新版(7版)への移行に伴い、ルールが改訂されたと解説しましたが、我々ユーザーにとっては
ルールが整備され、遊びやすくなった
と、言えます。
記事の後半部分でも解説しますが
クラシック版はルールブックが読みづらい上に、一部のルールが曖昧です。
その影響として、正しいルールが浸透しておらず、ハウスルールに頼らざるを得ないといったのが実情でした。
私自身、以前はクラシック版をプレイしていましたが、ルールの正確な運用はできていませんでした。
一方で新版(7版)は、ルールブックの記載内容が整理整頓され、プレイの例、アドバイスも充実。
さらに、曖昧だったルールのほぼすべてが明確になりました。
その結果、ルールの理解・運用が容易になり、ハウスルールに頼る必要がなくなりました。
キーパーの負担も減少し、正しいルールで遊ぶことが簡単になっています。
これからキーパーに挑戦したいと考えている初心者の方にとっても、大きな利点と言えますね。
新版(7版)はユーザービリティが向上、遊びやすくなっている
6版と7版が混在する環境
じゃあ、今みんなに遊ばれてるのは
遊びやすくなった、最新版の7版ってこと?
いや、それが違うんだ
むしろ、総人口は6版の方が多いよ。
えっ? そうなの?
6版には長い歴史と実績があるからね。
ただ、7版ユーザーも増えてはきているよ。
うーん。混乱してきた。
結局どっちを買えばいいの?
はっはっは!
さて。
2羽の鳥たちが話しているように、2024年現在、クトゥルフ神話TRPGの版(バージョン)をめぐる環境は複雑になっています。
・クラシック版(6版)で遊ぶユーザー
・新版(7版)で遊ぶユーザー
現在は、この2つのプレイグループが存在し、さらには……
・クラシック版(6版)と新版(7版)、両方で遊ぶユーザー
といった、ハイブリットなユーザーも多く存在しているのです。
こういった環境となっている主な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・ルールブックが高い、読みづらい
・今のままでも遊べるし、新しいルールを覚えるのは大変だ
・遊んでいる友人が6版ユーザーだ
・求められるものの違い(後述)
これらの要素が複合的に絡まり、今までクラシック版(6版)で遊んでいたユーザー全員が一気に環境を鞍替えすることはなく、新版(7版)の出版から5年が経った2024年現在でも、6版で遊びつづけているユーザーも多くいるのです。
さらに、日本におけるクトルゥフ神話TRPGの界隈は少々特殊です。
2010年ごろからニコニコ動画で盛り上がったリプレイ動画のブームを契機として、クトルゥフ神話TRPGは急激な拡大を見せました。
ラブクラフトの作り出した世界観を体験できるホラーゲームとしての本質を抜きに、単なる“現代もの”や“うちよそ”を遊びたい場合でも、クトルゥフ神話TRPGを使った方がプレイヤーが受け入れやすくなるという状況が発生。
パーセントロールの分かりやすさも加わり、クトルゥフ神話TRPGは“何でもできる汎用的なTRPG”としての地位を確立することとなりました。
こういった求められるものの違いが、クラシック版(6版)と新版(7版)の二分化を顕著にしているのです。
じゃあ、いま6版で遊んでいる人たちは
汎用的なTRPGとしてのCoCを求めているってこと?
一概にそうとも言えないんだけどね。
TRPGも多様性の時代が来ているってことさ。
遊びの幅が広がって
プレイ人口が増えるのは良いことだよね!
そうだね。事実として、CoCが多くの人に遊ばれてるのは
リプレイ動画や流行りの同人シナリオによるところが大きいからね。
7版をオススメする3つの理由
こういった現状を加味した上で、筆者としては、クトゥルフ神話TRPGをこれからはじめようとしているユーザーには、新版(7版)の購入をオススメします。
その理由を3つにまとめましたので、順を追って解説していきます。
ゲーム性に優れている
新版(7版)をオススメする一番の理由は、ゲーム性に優れている点です。
具体的には、以下のような要素が挙げられます。
・ルールブックが読みやすくなった
・プレイの例やアドバイスが豊富にある
・曖昧なルールが明確になった
・いくつもの魅力的な新ルールが追加された
ルールブックが読みやすくなった
新版(7版)のルールブックは非常に読みやすいです。
クラシック版(6版)のルールブックと比較してみると、記載内容が整理整頓されているのがよく分かります。
しっかりと章ごとに分類されており、目次を見れば、どのページに何の記載があるかが一目瞭然です。
巻末の補遺にも、各ルールを簡単にまとめたサマリーや、武器表、戦闘フローチャートなどなど、ユーザーへの配慮が充実しています。
ルールブックの読みやすさは、ルールの理解度に直結します。
新クトゥルフ神話TRPGは、正しいルールを学び、運用することが簡単になっていると言えるでしょう。
プレイの例やアドバイスが豊富にある
新版(7版)のルールブックでは、プレイの例やアドバイスに多くの紙面が割かれています。
実際のプレイの流れがイメージしやすく、実用的なアドバイスはキーパー、プレイヤーどちらにとっても非常に参考になります。
ルールの分かりづらい部分は
ハーヴェイさんが体を張って実演してくれてるよね。
新版(7版)はシナリオに関しても、キーパーへのアドバイスや提案などの記述が多くあり、ゲームの大きな手助けとなってくれます。
キーパーに挑戦するハードルも下がりましたので、機会があればぜひチャレンジしてみてください。
プレイヤーとはまた違った楽しみを見出すことができるはずです。
曖昧なルールが明確になった
クラシック版(6版)では、一部のルールが不明瞭であり、キーパーの采配やハウスルールによって解決しなければならない事が多くありました。
一方、新版(7版)ではほぼ全てのルールが明確化されています。
その結果、プレイグループによるルールのブレが生じたり、複雑なハウスルールを使用する必要がなくなりました。
とくに、戦闘や狂気まわりのルールが大きくテコ入れされ、遊びやすくなっています。
全体的にルールが単純明快になって
戦闘のテンポ感が大幅に上がったよ!
いくつもの魅力的な新ルールが追加された
新版(7版)では、新たにボーナス/ペナルティ・ダイスや、プッシュ・ロール、幸運を消費する(選択ルール)など、様々な新ルールが追加されています。
これらの新ルールは、ゲームの幅を広げたり、より刺激的でドラマチックな展開を演出してくれるものです。
選択ルールとして提示されているものも多く、プレイグループやシナリオのトーンに合わせて、多様な遊び方が提供されています。
筆者のオススメは一新されたチェイス・ルールです。
ド派手なカーチェイスや、命をかけた怪物からの逃走劇などといったシーンを簡単に演出できます。
参考資料:遊びやすさの意識調査
クラシック版(6版)と新版(7版)、どちらも遊んだことのあるユーザーにアンケートを実施しました。
500人以上のユーザーに聞いたところ、85%以上の人が「新版(7版)の方が遊びやすくなった・6版と変わらない」と回答しています。
一方、慣れ親しんだクラシック版(6版)の方が遊びやすいといった人も一定数はいるようです。
ルールが明確になり、新たな要素も追加されていますので、覚えることが多くて大変だ、といった意見も一理ありますね。
遊ぶ環境が整っている
新版(7版)をオススメする2番目の理由は、遊ぶ環境が整っている点です。
具体的には、以下の通りとなります。
・クイックスタート・ルールが無料公開されていて、ゲームをはじめやすい
・十分なプレイ人口とシナリオ数が揃っている
・コミュニティ活動やイベントが活発に行われている
クイックスタート・ルールが無料公開されていて、ゲームをはじめやすい
新版(7版)では、入門用のルールブックとして、ルールの一部が書かれている『クイックスタート・ルール』(以下、QSルール)が無料公開されています。
『クイックスタート・ルール』は公式サイトのDLページか、スマホアプリの『クトゥルフ神話TRPGルールブックPLUS』にて閲覧することができます。
・クトゥルフ神話TRPG 公式サイトDLページ (※現在、サイバー攻撃を受けており、接続できない状況が続いています。)
・『クトゥルフ神話TRPGルールブックPLUS』 公式サイト App Store / Google Play
簡易的なものではありますが、QSルールにはゲームをはじめて楽しむ人にとって十分なルールが書かれています。
また、はじめて遊ぶには持ってこいの初心者向けシナリオ「悪霊の家」が収録されており、キーパーを務めることもできます。
クトゥルフ神話TRPGのルールブックは約6,000円と決して安い金額ではなく、参入のハードルがやや高かったのですが、QSルールによって手軽にゲームをはじめることができるようになりました。
『クトゥルフ神話TRPGルールブックPLUS』では、QSルールと共に1人用シナリオ「一人炎に立ち向かう」が無料公開されています。
ゲームブック形式で進行するKPレスで遊べるソロシナリオです。
1時間~2時間程度でプレイでき、このシナリオで遊べばゲームの流れや雰囲気をつかむことが出来ます。1度遊んでみるのも良いでしょう。
十分なプレイ人口とシナリオ数が揃っている
新版(7版)は、十分なプレイ人口とシナリオ数が揃っています。
総人口で言えば、長く遊ばれ続けてきたクラシック版(6版)に軍配が上がりますが、新版(7版)のユーザーは増え続けており、遊ぶに困るといったことはありません。
シナリオに関しても、クラシック版(6版)のシナリオを新版(7版)に版上げすることが可能です。
アンケートからも分かるように、ほとんどの方がシナリオのコンバート(版上げ)可能と回答しています。
ただ、「簡単ではない」といった意見も多いため、最初のうちは新版(7版)に対応したシナリオで遊び、慣れてきたら遊びたいシナリオを版上げしてみるのが良いかと思います。
コミュニティ活動やイベントが活発に行われている
新版(7版)は、コミュニティ活動やイベントも活発に行われています。
年に数回開催されているゲームマーケットなどのコンベンションや、ボードゲーム専門店では、新クトゥルフ神話TRPGのセッションが公募がされています。
また最近では、インターネット上でもオンラインのコンベンションやコミュニティ活動も活発に行われています。
2023年末には、クトゥルフ神話TRPG公式のDiscordサーバーも公開されました。
こちらの公式サーバー内では、一般のユーザーが日夜オンラインセッションの募集を行っています。
他にも、有志によって多くのコミュニティ活動やイベントが開催されています。
その多くは無料で参加でき、特に新版(7版)に関しては、TRPG未経験者や初心者向けの募集も活発に行われていますので、興味があれば参加してみるのも良いでしょう。
↑私も毎年2度ほど、新版(7版)のオンラインコンベンションを主催させて頂いています。
機会があれば、ぜひご参加ください!(※上記コンベンションは終了しています。)
将来性がある
新版(7版)をオススメする3番目の理由は、将来性がある点です。
具体的には、以下の通りとなります。
・公式サポートと継続的な商業展開が期待できる
・プレイ人口の増加が見込める
公式サポートと継続的な商業展開が期待できる
最新版である新版(7版)は、今後も公式(KADOKAWA、スタジオ・アーカム)のサポートと商業展開が期待できます。
2022年にはスマホアプリ版の『クトゥルフ神話TRPGルールブックPLUS』が公開。
2024年3月より、株式会社スタジオ・アーカムが設立。
同4月には、「七伏市奇譚」といった公式シナリオの新ブランドが公開されました。
他にも、オンラインでのセッション体験会など、続々と新たな試みが実施されてますので、今後も公式の動きからは目が離せませんね。
↑クトルゥフ神話TRPG 公式Xアカウントより
七伏市という架空の町を舞台に、2~3時間で遊べる短編シナリオ群の展開が「七伏市奇譚」です。
もちろん、継続的なソースブック(サプリメント)の刊行も期待されます。
2023年にはシナリオ集『ピーターセンの忌まわしき物語』が、2024年には『クトルゥフ神話TRPG プレイングガイド』が発売されました。
こうした、公式からの新しい出版物やシナリオでいち早く遊べるといったのも新版(7版)の強みと言えますね。
プレイ人口の増加が見込める
新版(7版)は、今後もプレイ人口の増加が見込めます。
先述した通り、まだまだクラシック版(6版)で遊ぶユーザーも多いですが、徐々に新版(7版)への移行は進んでいます。
これからはじめるほとんどの人は、新版(7版)から遊ぶことになりますので、プレイ人口は確実に増加するはずです。
遅かれ早かれ、将来的には新版(7版)が主流となっていくでしょう。
2014年に7版が発売された本国では
6版と7版ユーザー数は数年前に逆転したみたいだね。
まとめ:オススメは7版!
以上が、筆者がこれからクトゥルフ神話TRPGをはじめる人に新版(7版)をオススメする理由です。
繰り返しになりますが、TRPGは一緒に遊ぶ仲間がいてはじめて成立するゲームです。
あなたが遊びたいと考えている人たちがクラシック版(6版)で遊んでいるのなら、周りに合わせても何の問題もないと思います。
どちらを買うか迷っているのなら、新版(7版)を買うべきです。
ぜひ皆さんも、遊びやすくなった『新クトゥルフ神話TRPG』を手に取り、遊んでみましょう!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
▼『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』はこちら